騒がしい空き家/怖い話

怖い話・怪談

知り合いから聞いた話です。

知り合いの住んでる近所に山田さんってご家族が住んでるんです。
その山田さんの家の隣が空き家になっているんですが、夜になると声が聞こえてくるそうなんです。
まるで町内会の会合でもやってるような話し声で。ガヤガヤ聞こえるらしい。
その家は空き家なので当然誰も住んでいないし、誰も出入りしていない。
隣に住んでいるので出入りがあれば、ある程度わかりますから。

その声に気づいたのは山田さんの家の息子さん。Aさんなんですが、どうやら声が聞こえてるのはAさんだけみたいなんです。
他の家族や近所の人達には聞こえない。
Aさんは当時、結婚もしていて子供もいるんです。とても真面目な方で、変な冗談を言う人じゃない。
そんな人が「夜な夜な隣の空き家から声が聞こえる」って言うんです。

写真AC

Aさんが余りにも声が聞こえると言うので少し気になった親戚の叔母さんが、役所に行って昔の古地図を見せてもらったんです。
それでわかったのは、その空き家の敷地、元々は墓地だったそうです。

これはもしかして(心霊的な事なのかな?)と思った山田さんのご家族は、隣の空き家の敷地を少し調べてみたそうなんです。
家の敷地って隣の敷地との間に境界ブロックが立っていますよね。大体コの字型に区切られてると思います。
その境界ブロックを見てみたら、一部に墓石が使われてたんです。
普通のブロックに混じって墓石が使われてる。
どうやら住宅用地にするに当たって、雑に撤去されたんじゃないかと。骨とか一纏めにされて。
もしかしたら、掘り返せば骨とか出てくるかもしれない。
流石に怖くてそこまでは出来なかったそうですが。
知り合い曰く「だから夜な夜な集会してたんじゃないかな」なんて言っていました。

心配になった山田さんのご家族は、神社に頼んでお祓いをしてもらったそうです。
それ以来、声は聞こえなくなったそうなんですが…。

その後、しばらくしてAさん、しました。
夜中、自宅の裏にある物置で、割腹自○だったそうです。
今どき割腹自○だなんて、尋常じゃありませんよね。
Aさん、すぐには死にきれなかったようで、物置から頭と腕が這い出ていたところを朝方、新聞配達の人が発見したそうです。

自○の理由は、わからなかったそうです。

山田さんの家はちょっと複雑なご家庭で、そのことで思い悩んでいたのかもしれない。
とはいえ、Aさん自身もご結婚されていて、子供も当時まだ2、3歳くらい。可愛い盛りです。
奥様も中学生の頃から好きだった方という事で幸せそうだったのに…。
お金にも困っていなかったし、他のご家族からも頼りにされていて、不仲では無かったそうなんですが。

空き家の声と関連があるのかわかりませんが、もしかしたら『あの声』に呼ばれていたのかな、と。

ただ一つ救いだったのは、お葬式で死に顔を拝見した時、ホッとしたような、とても安らかなお顔をされていたそうです。

今、その空き家は新築の物件に建て直されて、住んでいる方がいます。

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