九州某地区に『ルンバの家』ってのがあるらしいんです。
まず家の名前が一人歩きしてたんです。意味がわからないじゃないですか。廃墟らしいんですけど。
何だ？ってなるじゃないですか。家の中の情報は出てこないんです。
例えば「お化けが出る」とか、何かあるでしょ？
ただ『あそこはヤバいぞ、ルンバの家は』って言うんです。ヤバいのに何がヤバいのか誰も言ってくれないんです。
霊感のあるような人でも「あそこはヤバいよ、ルンバの家は」って言ってる。
情報が来ない。牛の首じゃないけど、情報が来ないから、う～んわかんないなって。
だからちょっと、霊感のないヤンチャなグループみたいなのが、行ってみたんですって。
そしたら、普通の住宅地にある普通の家なんです。
「何だ普通の家じゃないか」
夜の９時頃に行ったんですって。「夜中行くとちょっと怖いし」って。
行ったら、鍵も開くんです。
「開くぜ、開くぜ」って入っていく。
そしたら、普通の２階建ての家なんですよ。
ただ、家具が一つもないんですよ。絨毯とかも無い。
前は人が住んでたらしいんだけど、全部綺麗に取っ払われてる。
もしかして、これあれじゃないの。ルンバが掃除しやすいように何も無いと。
だからそういう意味でのネーミングなのかなー？と思った。
怖い事、何にも無いんですよ。
で、別れて家の中を見て行って。
一人ちょっと、勝ち気なヤンキー姉御みたいな人がいたんですって。
普段その人、どんな修羅場でもビビらなくて。警察来てもビビらない。喧嘩になってもビビらない。ナイフが出てもビビらない。
でもその人、ちょっと怖かったんですって。幽霊が少しね。苦手だった。
だから皆が、「ちょっとあの子脅かそうか？」って空気になったそうなんです。
で、結果的にどうしたかって言うと。
結構、家の奥までその人を行かせた後でドア閉めて、抵抗されても良いようにデブな奴に抑えさせて開かなくして、「閉じ込めちゃおーぜ」ってなったんです。
で、その人は性格的に、勝手に窓とか割ったり鍵開けたりして外に出るようなタイプじゃないんで、完全に閉じ込めた状態になったらしいんです。
ただ、めちゃめちゃ玄関で凄いテンパって「開けろ開けろ！！」って言ってるんですけど、
もう尋常じゃないくらい叫んでるんです。最後ら辺はドアに体当たりするくらい。ドアが壊れるんじゃないかくらい。
だからそこまで怖かったら、居間とかの窓から出りゃいいのに、何故か、言ってみれば変な話…玄関に追い詰められたみたいな。
そのレベルで「開けろ！！殺す気かぁ！！」とか凄いことになって。
あまりにヤバいから、ああいうヤンキーグループ中に一人くらい常識がある人がいるもんで
「これ洒落になってないから開けよーぜ…」
って開けたら瞬間飛び出て来て、ドアを塞いでたデブの奴を馬乗りになってボッコボコみたいな。
もう全治２ヶ月位の重症。鼻とか折れるわ、マジでやってるから。
その時は話聞けなかったんですよ。
デブを病院とか連れて行かなくちゃいけないから。
その後「何があったんだ？」って聞いたら。
「冗談じゃない！あそこ！」って。
奥で部屋を探検してたじゃないですか。姉御さんが。
ガチャって音がしてわかったんです、閉じ込められたって。
慌てて玄関に行って「馬鹿野郎！！クソ！開かねえ！」って言いながら玄関のドア開けようとしてたんですって。
最初はそんな怖いことは無かったんですって。暗いだけの家だから。
「馬鹿野郎！」って言ったら、奥で物音がしたんですって。
それは子供くらいの大きさの物で動き回ってる。
（え？マジか…）
小動物かな？って最初思ったらしいんです。
え？って思ったら、何か見えたんですって。
廊下をシュッと部屋に移動する子供くらいの大きさの物が。
（え、ヤバい…！）
「これヤバい。お、おい！開けろ！開けろよ！」って言ってんだけど
もちろん外の連中は面白いから。もう「イエーイ」って閉じ込めてんですよ。
（え、え…）と思ってよーく見てると、しばらく時間を置いた後、出て来たそれって…
小さい女の子だったんですよ。
（うーわ…）って思って。
何故か知らないけど、右手をずっと壁に付いてるんですよ。
「え、え、何この子？」って言ったら、壁に手を付いたまま隣の部屋に入っていったんです。
で、入る寸前に自分の方をちらっと見て何かボソボソっと言ったんですけど。
何て言うんですかね。女の子が時々掠れて見えるって言うんですかね。
それに合わせて声も掠れてて、ちゃんと何て言ってるのかわからないんです。
ですけど「〇〇したら〇〇だよね」ってことを自分に言った気がして、超怖いんです。
（やばいやばい）って思ったら、どうやら女の子のルールみたいなんですけど、壁から手を離しちゃいけないらしく、ずっとこう、ズルズル移動してるっぽいんです。
で、また出てきて自分を見やりながら「〇〇したら〇〇だよね」
す…ってまた部屋に入っていく。
次がもう、後一部屋くらいしかない。
壁に手を付けてズルズル来てるんだったら、もう玄関来ちゃうんですよ。
「うわぁー！！開けろ開けろ！！オラァ！！ぶっ飛ばすぞ！！」
って叫んだんだけど、外の奴は「いつもは冷静なあの女がウケるｗｗｗ」
とか言って開けてくれないの。
（ヤバい！ヤバいだろ！！）と。
もうはっきり見えるんですよ。さっきまで掠れて見えなかったものが。
（うわ！ヤバイヤバイ）と思ったら、とうとう後一部屋しかない。
玄関横の和室みたいな所に出て来て、女の子が、自分を見ながら、
壁に手をついたままの右手が部屋に入る寸前に、自分に向かって直接はっきりと自分の目を見て…
「私がタッチしたら交代だよね」
って言って入って来たんですって。
「うわぁーー！！」ってなって、もうドアに体当りして外に出て、ボコボコにしたらしいんですよ。
そらボコボコにするでしょ。
それで「それはアカンて…」ってなって。
「その家行っちゃ駄目だ。なるほど。だから『ルンバの家』なんだ。
ルンバみたいな動きをする女の子の幽霊がぐるぐる回ってる家なんだ」
って言って、そこ誰も行かないしその場所はもうNGで教えてもらってません。
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