続こっくりさん禁止の学校/禍話リライト

この話は前回の「こっくりさん禁止の学校」の関連話です。「こっくりさん禁止の学校」も読んでいただいた方がより楽しめると思います。

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こっくりさん禁止の学校ってあったでしょ。
その話をしてくれた方からまた話を聞けたんだけど。
当時関わった教育実習生の人から話が聞けたって言うので。
まぁ、その人がたまたま「私ここの卒業生なんですよ」
って話したら意気投合して話を聞けたって言うんです。
その時の事を話して「あ、私知ってる」って話されたんですって。

当時この方、教育実習生でね。
その学校に、国語かなんかの先生だったらしいんですけど。

もう何ていうか、教師になるしか無い様な人でね。生徒からも慕われてて。
普通、教育実習生って何かある度に担当の先生と一緒に職員室で反省会とかするもんなんですけど、割と教室に入り浸りな感じだったらしいんですよ。
担当の先生も「それでいいよー」って言われてて。

で、皆さんの学校はどうかわかりませんけど。
先生は先生用のトイレを使う。生徒は生徒のトイレを使う。
みたいな取り決めがある学校だったらしいんです。

ある時ね、昼休みだか放課後だったか伺ってないんですけど。
いつも教室に入り浸ってるから、うっかりね。
生徒さんの使ってるトイレに行っちゃったらしいんです。女子トイレに。

でも普通入って気づくものなんだけど、ナチュラルに入っちゃって。
用を足してる時に（あ、ヤバ…）って。
（何か今日トイレットペーパーの位置違うなぁと思ってたら生徒用のトイレだ）と思って。
「あらあら私うっかり生徒用のトイレ使っちゃった。まあいっか、そんなに『何で使ったんだ！』
ってことにはならないだろうし、まあいいや」
なんて言って用を足した。

（さて、そろそろ出ようかなー）と思ったら、何人かこう、
4～5人ぐらい女の子達が入ってきたんですよ。
すごい盛り上がった感じで「それでさ～」とか言って入って来ちゃったらしいんですよ。

（うわ～）と思って。
ここで出ていっちゃうと、今せっかく仲間内で盛り上がってるのに、水を差しちゃうと言うかね。
先生出てきちゃうとね、年上の人が出てきちゃうと。気まずいなーと。

まあ、女の子達が出て行ったら出よう、と。気を利かせてね、中で待ってたんですって。
でもね、その子達、すごい手洗い場で盛り上がっちゃって、誰一人トイレに行かないんですよ。

（あ、これあれか）と。
わかんないけど、教室だとね、男子の目があるとか、何かしらあるんで、おしゃべりする為だけに来たのかな、と。
誰かちょっと手を洗ったり、適当に髪いじったりしてるだけで。
OLさんが給湯室でこう、わちゃわちゃするみたいなことなのかなーなんて、微笑ましく思ってたんですよ。
どうでもいい事で盛り上がってて、箸が転がるだけで面白いみたいな。私もああいう時代あったなーなんて思いながら。

そのうちね、話題が『こっくりさん』になったんですよ。
当時は流行ってたそうなんですよ。そういう時代の話なんですけど。
で、どうやら、昨日の夕方、『こっくりさん』をみんなでしたそうなんですよ。
「あの時のこっくりさんスゴかったねー！」みたいな事を話してて。
『こっくりさん』って私も関わったことあるんですけど、支離滅裂だったりするんですよね。
誰かがいい加減に動かしてるのか、集団暗示というかね。
いい加減さなのかわからないけど、答えにならない答えだったりするんですよ。普通ね。

なのに、昨日やった『こっくりさん』はビシビシ何でも当てはまる感じで答えてくれた
って言うんですよ。
で、すごい盛り上がってるんです。
「AさんとBさんは付き合ってるの？」なんて聞いたら「つきあってる」みたいな。
「すぐ返事が来るし名前もあってるし、すごいよね～」なんて言って。そんな話で盛り上がってる。
で、その教育実習生は（へぇ～、そうなんだ。そんな事あるのかな～。偶然だろ）
とか思いながらぼんやり聞いていた。
しばらく聞いてたら、なんとなくクラスの役割分担っぽい事がわかってきて
（へぇ～そうなんだ～）なんて思ってたらしいんです。

で、一人ね。
皆さんの周りにいたかどうかわかりませんけど、霊感少女キャラみたいな人がいて、
解説役みたいなことを担当してるって言うんですよ。

例えばさっきの、AさんとBさんの付き合ってる話だと
「付き合ってるって言ったよね～」とか言うと
「そうそうそう。でもね、あれはね、その場にいた浮遊霊がね、嘘を言ってるのよ。
本当じゃないのよ」
なんて言うんですよ。水挿してるなぁ、と思うんだけど。
で、解説が終わると別の話題に移る。
「でさでさ～、『胃に影がある』とかで長期入院してる先生がいるけど、
あれ、なんか胃の3分の２を切り取らなきゃいけないとかいう事言ったよねー」
すると解説役の子が
「そうそう。あれはね、先生の家の実家のお墓をあんまり綺麗にしてないからね。
その障りが長男である先生に来てるのよね」
なんて言うんですよ。

なんか、えらい解説するなぁって聞いてたんですけど、なんとなくパターンがあるんですって。
いい感じの答えをすると「それは嘘だ」とか「誤魔化しだ」とか「不幸になる前触れだ」とか言う。
悪い答えだと、それを肯定する。

結局、全部悪い感じになってるんですよ。

何か全部悪い感じになってるなーって思ったんだけど、周りが普通でね。
「あなた水差す事言いなさんな」とかならずに会話が続いてるとこを見ると、
解説してる子はみんなに、さも「ああ、やっぱりそうなのかな？」
っていう事を言う役回りなんだろうなーっていう風に納得して。
（そろそろ出ていってくれないかなー、みんな）なんて思いながら個室の中で待ってた。
そしたら、「今日もやるー？」なんて言ってるんですよ。
そんな気軽にやるもんじゃないと思うんですけど。
「今日もこっくりさんする？」って。

「えー、でも昨日なかなか帰ってくれなかったよね。色々答えてくれたけど」
「そうだよね。帰ってくださいって言ってもずっと、『いいえ』『いいえ』ってなっててね」
って喋ってると、そこで解説役の子が言うわけですよ。
「あれはねー、結局ねー、たちの悪い奴が来ちゃってて、会話を糸口に誰かに取り憑こうとしたからなんだよね」
（相変わらずネガティブなこと言ってるわ）なんて思いながら。
「結局、最後らへんは初めて自分達の力で無理やり１０円玉を『はい』にして終わらせた感じがあるけど、大丈夫かな？」
なんて言って。
「いやー、でもあれはねー、それはね、取り返しがつかないことをしちゃった気がするよねー。帰ってないわけだから」
なんて言ってね。
（嫌な事言うねー）って思ったんだけど。
そしたらね、すごい驚いたそうなんですけど実習生の方が。

女の子達がね「いやー、今日やめとこうかー」って言って出ていったんですよ。
出ていったんですよ。出て行ったんだけど…

霊感少女だと思ってた奴は残ってるって言うんです。トイレに。

「帰ってないからね、あの霊はね。
うん、誰かに取り憑くまではもう帰んないぞってなってるから。
取り返しがつかない事を」

「あの子達はしちゃったねー」　って。

（え？）
今、完全に、トイレに居るのは自分だけですから。
（私に向かって話しかけてるんだ…）
で、そいつがね、どんどん自分の個室に来るんです。
周りが静かでね、その時わかった。
その学校ってね、普通スリッパ履くんです、みんなね。
でもね、そいつ、裸足だって言うんです。ペタペタペタペタ音がするって言うんです。