この話は前回の「赤い女のビラ」の話の中で、敢えて語られなかった。話せなかった部分の話になります。「赤い女のビラ」をお読みいただいた後に今回の話を読んで頂くことをおすすめします。
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以前、赤い女のビラの話をしたんですけど、その後、再取材したんですよ。
前のあの話で足りない所とかあったら教えて?って。
そしたらすごい怖いこと言われて。
以前話した時に赤い女が集合ポストにビラを入れたりしてるんで、
管理会社が防犯カメラの画像を確認したんだけども、何故か知らないけど警察が動かない。みたいな下りがあったと思うんですよ。
で、あの辺、結構ちゃんと聞いてなかったんで、さらっと流して話を進めてたんですけど…聞いたんですよ。
「勝手にビラを配っている軽犯罪というか悪い事をしているから訴えればいいのに、
どうして管理会社は動かなかったのか。って事なんだけど」って聞いたら。
「ああそれは、ちょっとあのー…言っても信じて貰えないと思うんだけど…」って言うもんだから。
「それは全然、言って貰って構わないよ」って言ったら。
写ってたらしいんですよ、顔が。ちゃんと赤い女の顔が写ってたらしいんですよ。
大体マンションってわざとらしく『これがカメラです!』ってカメラの存在自体が防犯に繋がるみたいな所があるじゃないですか。
だから露骨に防犯カメラです!って角度で設置してたらしいんですよ。
その女、カメラに向かって集合ポストに手書きのビラを入れながら、ふっと動きを止めて何て言うか、顎を上げると言うんですかね。
カメラに向かって顔を見せつける様な感じで写ってたって言うんですよ。
(その管理業者曰く、実際にその映像を見たってわけじゃないらしいんでんすけど。)
じゃあ顔がはっきり写ってるなら、それ警察に持って行けばいいじゃないですか。
持って行ったらしいんです。管理業者の人。
警察にね、まあ、その防犯カメラの動画や静止画を見せたって言うんですけど、
「こっちも暇じゃないんだから、悪戯はやめてくれないか」って言われたらしいんですよ。
「いやいや、これ悪戯じゃないんですよ。こういう顔なんですよ」
「いやいやこんな顔なわけ無いでしょ」
警察の若手の交番の人と押し合いへし合いしてる所に、ベテランみたいな人が警らか何かから帰って来て、何々って事情を聞いて。
ベテランってやっぱり凄いなって思うんですけど。
結構もう四、五十くらいの人だったらしいんですけど。
「あ、これはね。悪戯とか悪戯じゃないとかそういう事じゃなくて、我々にはどうしようも無い事だね」ってその人が真顔で言うもんだから、
それまで喧々諤々だった管理業者と若手の巡査さんも「あー…」ってなったらしいんですけど。
で、「それどんな顔だったの?」って聞いたんですよ。そしたらね。
皆さんは、『耳なし芳一』って話をご存知ですか?知ってると思うんですけど。
あれ最後ら辺に、平家の落ち武者来ちゃうんで、お坊さんが芳一を助けるために体中にお経書くじゃないですか。
まあちょっと嫌な予感したと思うんですけど。
顔面が、肌色ではあるらしいんですけど、目鼻口が若干無いかな…。若干と言うか無いんですって。のっぺらぼう状態ですよ。
で、顔のパーツが無い分、ぶわってこう、文字書いてるって言うんですよ。あの、『赤い女に注意』ってのが。
あの文言がぶわって、こう無茶苦茶な字のバランスで書いてたって。
だから、その嫌がらせをするっていうなら特殊メイクのやり方ってのがあると思うんで。
まあ、そんなに防犯カメラの精度も高いわけじゃないと思いますから。
悪戯ってのも出来はするんだろうけど、そんな事しないだろって言う…。
で、しかもね。この話ドン引きしたんですけど。
どういう風に来たかって言うと。
来て、まあポストにバーって投函して、カメラに向かって顔をグッと見せて、そのままくるっと踵を帰して帰ればいいんですけど。
何て言うか、逆再生みたいな。そのまま後ろ向きで出て行ったんですって。
そんな映像だったから、交番の若い巡査さんがフェイク映像か何かで誂られたのかと思ったらしいんですけど。
まあ当然、細工の形跡なんかも無くて。
ただ「これはもう、ちょっとそういうのじゃないですよ」ってなって。
それで、赤い女の話で警察は動かなかったらしいんですよ。
管理業者も「もういいか」ってなったらしいんですよ。
禍話/赤い女が話せない
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【動画もあるので良かったら見てね~】
コメント
最高です!
ありがとうございます!